最近、予備校のホームページを見ると、
- 大学共通テスト同日体験受験
- 大学入学共通テストチャレンジ
- 共通テストチャレンジ
という言葉を目にします。
もしかしたら、通っている高校で、受験することが決まっているかもしれません。
みなさんのお父さん、お母さんが高校生の時は、大学入試センター試験(現 大学入学共通テスト)の次の日の新聞に問題が出ていたので、それで解いたりしていました。
今は様々な予備校で、模試の1つとして開催されています。
この「大学共通テスト同日体験」について解説をします。
大学共通テスト同日体験受験とは?
大学共通テスト同日体験受験(以後、同日体験受験)とは、
例年1月の中旬以降に行われる「大学入学共通テスト」と、同じ日に、同じ問題を解く、という模試です。
今年なら、2022年1月15日(土)、16日(日)に行われます。
とはいっても、同じ時間に解くことはできません。
大学入学共通テストの試験問題を入手してから、印刷をして問題として使うので、大体午後からの開始となります。
申込方法は、各予備校のページから、または高校全体でこの模試を採用していて必須受験のところもあります。
高校で受験の場合には、高校で当日受ける場合、別日程で受ける場合、家で各自で受ける場合のように様々です。
そもそも大学共通テストとは
大学入学共通テスト(以後共通テスト)とは、大学受験を希望する人の、高校で学ぶ勉強の基礎学力が備わっているかどうか、その到達度をはかるテストです。
全国で同じ日に、同じ問題を解きます。
国公立大学の受験希望者は、この共通テストを1次試験、各大学の個別試験を2次試験とし、その試験の合計により合否を決定します。
私立大学の場合には、共通テストの成績のみで合否を決めたり、共通テストと大学の個別試験の合計で合否を決めたり、する試験方式があります。
そのため、大学受験生のほとんどが受験する試験となります。
試験の平均点は大体6割前後になるように、問題量・問題難易度が設定されています。
大学入学共通テストについては、こちらのリンクもご覧ください。
独立行政法人 大学入試センター『大学入学共通テスト』
Toshin.com 『大学入試の仕組み 大学入学共通テスト』
スタディサプリ『今さら聞けない!大学入学共通テストの基礎知識!一般入試と何が違うの?』
大学共通テスト同日体験受験実施要綱
2022年1月9日現在、同日体験受験の申し込みができるのは東進ハイスクール、東進衛星予備校だけです。(会場によっては申込締め切りのところもあります。)
そのため、今回は東進の同日体験受験の実施要綱を掲載いたします。
なんと受験料無料なのです。しかも個人成績表も出してくれます。
受験科目も、大学入学共通テスト本番に比べて、「簿記・会計」や地理歴史の「A」などは受験できませんが、ほとんど同じように受験ができます。
大学共通テスト同日体験受験を受けたほうがいい3つの理由
先ほど、東進の大学共通テスト同日体験受験が無料であるというお話をしましたが、ほかの予備校でも無料でやっているところがほとんどです。無料とはいえ、運営側は、会場・人員手配、テスト用紙、帳票印刷等でお金がかかっています。にもかかわらず、無料でやるということは、予備校側にメリットがあります。そのメリットを考慮しても、高校生のみなさんが「同日体験受験」を受験すべき理由についてあげてみます。
理由1.入試スタートのちょうど1年前(2年前)だから
大学入試は早いところだと前年12月からありますが、本格化するのは2月。その前の1月中旬にある共通テストは、大学入試のスタートと言えます。
高2生なら1年後(高2生なら2年後)を意識できるというのはとてもいい機会なのではないでしょうか。
理由2.自分の現在地がわかる
志望校に合格するためには、まず自分の現状を知る必要があります。ここでは自分の現状を知る目安について説明します。
学校の定期試験
学校の定期試験は通っている高校(中学)で行われる試験です。点数だけでなく、順位がでたり、偏差値を出している学校もありますので、自分の実力を知ることができます。
ただし、定期試験は学校の試験ですので、学校内での位置はわかりますが、日本全国の同じ学年の人と比べるとどうかはわかりかねます。
たとえば、県立のトップ校と中堅校で、試験の順位、偏差値が同じだとしても同じ学力とはみなさないですよね。
そして学校の定期試験の問題の難易度もさまざまです。
学校で習ったことができているかどうかをはかる目的であれば、解いたことのある問題から出すかもしれませんし、応用力をはかる目的であれば、大学入試の問題を出すかもしれません。
模擬試験
模擬試験も自分の実力をはかることができます。その模擬試験にもいろいろな種類があります。
- マーク式
- 記述式
- マーク・記述併用型
また、模試の中には「トップレベル」「難関」といった模試のレベルをむずかしめに設定しているものもあります。
模試では、どんな人たちが受験をしているのか、どんな力がはかれるのか、ということを理解した上で、自分の実力をはかってみるといいと思います。
模試で注意してほしいのは、「偏差値」だけで判断しないことです。模試を連続受験して、その「偏差値」によって一喜一憂したりする人がいます。偏差値があがるとうれしいですよね。
しかし、必ずしも「偏差値があがる=成績があがった」というわけではないのです。もしかしたら習った範囲ばかりでたかもしれませんし、マーク式なら「たまたまカンがあたった」のかもしれません。
「偏差値」はあくまで参考値として、学んだことがちゃんとできたのかを確認してみてください。
志望校の過去問
志望校の過去問を今の実力を知る指標にすることができます。
ただし下記の点に注意してください。
- 過去問の答えが本当の答えかどうかは不明
- 配点がわからない場合がある
- 合格最低点等が公表されていない場合がある
書店で販売されている過去問(赤本・青本)の答えは、その出版社が作ったものです。まちがった答えになるということはありませんが、あくまでその学校がつくったものではありません。そして、大学自体が問題を公表していても、答えを公表していないというところも多くあります。それは、答えを公表した場合、「この答えは違うのではないか」「こういう考え方もあるから選択肢の中で複数が正解になる」と言ったような、受験業界からの突っ込みがくる可能性があるからです。大学受験は1点で合否が分かれますから、後から「この問題の解答は2つありました」となって、合格者が変わってしまうことは大変なことなのです。
実際大学入学共通テストは、問題と解答が受験後に公表されるため、その解答をめぐって、予備校から意見が入ることもあるのです。
そして配点も非公表、合格最低点等がわからないので、「全体的にできない」「もう少し頑張ればできそう」程度しか把握できないかもしれません。
ここまで自分の現在地を知ることのできる方法を3点あげてみました。
そして、同日体験受験は、高2生・高1生のデータもかなり蓄積されています。〇〇大学に合格した先輩が1年前(2年前)の同日体験受験でどのくらいの点数をとっていたのかを知ることもでき、自分との比較もしやすいのでおススメです。
理由3.志望校との距離がわかる
自分の現在地を知ることと同じくらい大事なことが「志望校との距離を知る」こと。その方法の1つとして「同日体験受験」は使えます。
例えば、志望校の過去問でもはかることができますが、今の時点だと「高3の範囲まで履修できていない」「応用力が身についていない」などの理由で正確にはかれるとは言い難いです。
その点、大学入学共通テストでは、「数学Ⅰ・A」は高1までの履修範囲ですので、「習っていないから解けない」ということはありません。また「基礎学力をはかる」といわれているので、そこまで難易度の高い問題ばかりが出るというわけでもありません。
そして、合格した先輩たちが本番の試験でどのくらいの点数を取っていたのかというデータを塾・予備校で持っていますので、点数で比較をすることも可能なのです。
次の日以降に新聞でやってもいいの?
大学入学共通テストの問題と解答は翌日の新聞に掲載されます。新聞と取っていなくても、大手予備校のホームページにも掲載されますので、印刷して解くこともできます。選択式で配点も明らかにされているので、自分の採点をすることもできます。
しかし、先ほどの「自分の現在地を知る」「志望校との距離を知る」という場合には、塾・予備校のデータを役立ちます。予備校のデータというのは偏差値や順位だけではありません。さまざまな数値を掲載してくれるのです。そのデータを手に入れるためにも、予備校で受けることをおススメしています。
また予備校によっては大学入学共通テストの解説授業を用意してくれているところもあります。自分の考え方・解き方が合っているかを確認することは非常に重要です。以前働いていた予備校で、勉強量は多いけれど成績があがらない生徒には、模試後、どうやって解いたのかをきいていました。ある生徒には英文法の知識を問う問題をどうやって解いたのかをききました。その生徒の選択した答えは合っていたのですが、その根拠は「この組み合わせの熟語を知っている」だったのです。しかし、そんな熟語は存在しませんでした。ということでこの生徒はたまたま合っていただけ、だったのです。こういうことが起こりうるので、高1生、高2生のうちは、どうやって解いたのかの確認をしていきましょう。
どの科目を受けたほうがいい?
できれば、全科目を受けたほうがいいと思います。しかし国公立大学の場合には7科目(場合によってはそれ以上)になります。しかもまだ履修していない科目もあるかもしれません。少なくとも、英語、国語、数学(理系、国立文系、文系数学受験者)を受験しましょう。私立理系志望者でも現代文だけでも解いてみてください。理系であっても国語力は大事です。
大学共通テスト同日体験受験の申込
2022年1月9日現在、同日体験受験の申込ができるのは、東進ハイスクール・東進衛星予備校のみです。申込締め切りは2022年1月13日となっていますが、校舎によって申込受付を終了しているところもあります。決めたら早めに申込をしましょう。
同日体験受験の後が大事
大学入試本番の問題を解くので、解けなかった、点数が取れなかった、という人も多いと思います。大事なのはあなたがこれからの1年(高1生の場合には2年)をどう過ごすかです。その過ごし方を決めるのに、今の現在地と志望校合格までの距離を知ることが今回の試験の目的です。
例えば、東京から大阪に行くのに距離(時間)と手段を考えますよね。東京にいるつもりが栃木にいるとしたら、栃木から東京駅に行くまでの手段とかかる時間を考慮しなければなりません。そして、3時間後に到着したいのに、こだまに乗ったら間に合いません。
自分がどこにいて、目的地までどのくらいかかるのかがわかるから、それまでの方法を考えることができるのです。
もうすでに大学受験までの時間は決まっています。高校2年生は1年(12か月)、高校1年生は2年(24か月)です。その時間をどう使って、志望校合格を達成するのかを考えてみませんか。
【コラム】同日体験受験運営の裏話
わたしもこの同日体験受験の運営に何年も関わっていました。
試験前日までに、試験会場には何台ものコピー機(印刷機)と必要なコピー用紙が搬入されます。そして当日は、試験問題を入手するとすぐにコピー機にかけ、出てきた問題を2つ折にしてすぐに配布できるように部数ごとにまとめます。
本当に時間がないときは、おらずにホチキス止めもしていました。
コピー機に紙が詰まろうものなら、涙。
今は印刷業者に頼んでいることがほとんどだと思いますが。
本当の試験では、試験問題配布時間と説明に30分ほどかけていますが、同日体験受験の休み時間は10~15分しかありません。
その時間に、前の試験の解答用紙を集め、次の問題用紙と解答用紙を配布し、試験をするので、スタッフは走り回ります。
模試監督なので、黒スーツですが、この日の足元はスニーカーが多かったです。
その間にも、本番の試験を終えた高3生や浪人生が予備校校舎に報告に来るのでその対応もしています。うまくいった子は、「よし!このまま勉強していこう!」でいいのですが、落ち込んでいる子、泣いている子は、気持ちの整理をして前を向けるようにしていきます。
みなさんもも、1年後、2年後、試験本番に実力を発揮し、次の試験に迎えるよう準備をしてくださいね。
ちなみに、大体の予備校、学習塾では、問題を入手したら分析をし、速報を出したり、受験生へのフォローに使ったりしています。ですので、試験問題を入手するというのは、同日体験受験の実施可否に関わらず、みなさんされています。
【まとめ】大学入学共通テスト同日体験受験
いかがでしたでしょうか。この時期に書こうと思ったのは、少しでもみなさんの自分の現在地を知ってもらいたかったからなのです。自分の現状を知ったら、あとは計画をたてて実行するだけなのです。わたしは高校生の合格までのスケジュールを立てるのはとても楽しみでした。だって、この期間にこれだけ勉強したら結果が出せるって目に見えるだけでわくわくしませんか。
自分の現在地もわからない、距離もわからない、何をやったらいいのかわからない、であれば不安になります。しかし、「これをやれば、合格できる」と明確になったらどうでしょうか。みなさんにはそんな気持ちになってほしいのです。
そしてあとは行動するのみ!ぜひ1年後、2年後の志望校合格を勝ち取ってくださいね。
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